国際大学シンポジウム
「デジタル時代の食と農・地域の未来」開催レポート

2021.10.26

活動報告

国際大学シンポジウム「デジタル時代の食と農・地域の未来」開催レポート

〇 開催日:2021年8月28日(土)14:00~17:30
○ 会 場:南魚沼市民会館 大ホール
〇 参加者:会場・オンライン合わせおよそ160名

国際大学では、8月28日、南魚沼市のご後援を得て、スーパーグローバル大学創成支援事業の一環として、「デジタル時代の食と農・地域の未来」と題するシンポジウムを開催しました。
南魚沼市林市長をはじめ7名の講演者並びに8名のパネリストの皆様をお迎えし、南魚沼市の基幹産業である農業を中心に、デジタルトランスフォーメーションや、地域資源を活用した産業振興や地域づくりについての議論を行いました。産官学民のさまざまな立場で新しい農業と地域活性を実践する方々と、市民のみなさまが集い、地域社会が抱える課題や意見を共有しながら、食と農・地域の未来について考え展望するものとなりました。

▽シンポジウム全容収録動画はこちらからご覧いただけます▽

<プログラム概要>

開会挨拶
【国際大学学長 伊丹 敬之】

我が大学のスーパーグローバル大学のプロジェクトとしてのシンポジウムに多くの方のご参加をいただき、御礼を申し上げる。国際大学はすべて英語で教える大学院だけの小さくユニークな大学で、研究科は国際関係学研究科と国際経営学研究科という文科系の2つがある。これらに加えて、2020年には農業コースが開講し、そして今年秋にはデジタルトランスフォーメーションプログラムがスタートする。本日は、コロナ禍にありながら、「デジタル時代の食と農・地域の未来」をテーマとするシンポジウム開催が実現し、大変嬉しく思う。南魚沼市を始め、多くの皆様のご協力を得て、さまざまなトピックについて講演・パネルディスカッションを用意することができ感謝している。ぜひご登壇者・ご参加の皆さまとともに、DXと農業の未来を展望する機会にできればと期待している。

来賓挨拶
【文部科学省高等教育局高等教育企画課国際企画室専門官 吉岡 路 氏】

本日、国際大学におけるスーパーグローバル大学創成支援事業シンポジウムがこのように開催されることをお喜び申し上げる。
我が国の高等教育における国際化施策は、2009年度の国際化拠点整備事業であるグローバル30に始まり、2012年度にはグローバル人材育成支援事業であるGGJ、そして2014年度からSGU(スーパーグローバル大学)と、その歩みは12年を経過している。
このSGUでは、徹底した「大学改革」と「国際化」を断行する大学への支援として事業を開始し、採択大学それぞれの創意工夫の下、学内の体質改善や組織の国際対応力の強化、国際通用性の向上への取組が多様な形で進展しており、事業全体としても着実な成果が上がっているところである。そして、今年度から、この多様な実績を踏まえた大学間の横連携・展開を強化することにより、オールジャパンでポストコロナを見据えた我が国高等教育の更なる国際通用性・競争力の向上の実現を図ることを目的とした「大学の国際化促進フォーラム」という大学主体の連携体をSGU中心に希望する大学等の参加を得て形成。ここでは、国際的なオンラインプラットフォーム「JV-Campus(仮称)」等、19のプロジェクトが展開される。是非、多くの大学の皆様にご参画頂きたい。
国際大学におかれては、アジア・アフリカ地域を中心とした人的ネットワークの形成やグローバル・リーダーの育成を目指し、優秀な外国人留学生の受入れや、留学生修了生ネットワークを有効活用した海外展開に積極的に取り組まれていると承知している。平成30年度には「日本・グローバル開発学プログラム」、本年9月には「国際社会起業家プログラム」を開設するなど、世界に貢献しうる人材育成に積極的に取り組まれていることや英・エコノミスト誌の2021 MBAランキングで日本唯一のランク入りをされるなど世界と伍するプログラムを実施されていることも大変心強い。今後の更なる発展を期待している。

参考:「大学の国際化促進フォーラム」Japan Forum for Internationalization of Universities(JFIU)について (文部科学省)

基調講演「雪国からの挑戦」
【南魚沼市長 林 茂男 氏】

南魚沼市では、市内の若い農業者たちが自ら出演、撮影、音楽制作したオンライン動画「農 the Future」の企画をはじめ、名刺として南魚沼のお米を配ったり、東京国立博物館とのお米のコラボレーションギフト商品を開発したりと、さまざまな活動を行っている。
近年、農業従事者の高齢化や減少が全国的な課題となっているが、南魚沼市においては、リモートで行う草刈りや、ドローンを活用した追肥や消毒作業など、新しい技術の活用が進み、子供たちから見てもカッコいい農業に移り変わっていると実感している。また、ある大学では、農学部への女性の人気が非常に高まっているとも聞いており、農業について悲観することばかりではないと思っている。
現在私は、雪の活用を南魚沼市長としての最大のテーマに掲げている。オリパラ関連イベントに1,600トンもの南魚沼の雪を持ち込んで人々に楽しんでもらう活動や、雪の冷気を活用した伝統的な貯蔵法である「雪室」の産業化などに取り組んでいる。雪室の産業化が日本で一番進んでいるのはこの魚沼地域である。雪は脱炭素社会へ向けての取り組みができる自然由来のエネルギーであり、電源が喪失されたとしても動き続ける冷蔵庫として機能できる。

また、ふるさと納税においても、雪室で熟成した米や肉、酒などが断トツの人気となっており、金額として毎年150%程度の伸びを見せている。ふるさと納税の効果には、当地の農業ブランドの向上に加え、農業従事者の皆さんの意識改革、そして、市役所職員が「自分たちが頑張れば市民のためになる財源を確保でき、そしてこの地域を高めていける」ということに気が付いたことが大きいと感じている。
今後、関東と北陸をつなぎ、そして大陸をつなぐ港湾などの交通網が整備される。このとき、地域の雪を使ったエネルギー、そしてそこにある農業が栄えていかないはずはない。これからも多くの皆さんと力を合わせながら、さらにブラッシュアップさせてこの地域の将来を展望してまいりたい。

講演「農業DX構想〜「農業×デジタル」で⾷と農の未来を切り拓く〜」
【農林水産省大臣官房デジタル戦略グループ企画官 阿部 明香 氏】

 DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタルやテクノロジーを駆使して、顧客や社会のニーズを基に組織の在り方や人々の生活の在り方を変えていくことと定義される。ドイツ、アメリカ、中国といった各国においてもDXの取り組みが進められている。日本では、2011年からSociety 5.0をコンセプトに掲げ、社会課題解決と経済成長をテクノロジー活用により実現する取り組みが進むなかで、デジタル庁も発足した。

農業分野においても、農業従事者の高齢化と減少、耕作放棄地の増加などを背景に、DXの必要性は高い。そこで農林水産省は今年の3月に農業DX構想を公表し、①人に頼る農業から機械を活用し生産性を高める農業への転換、②FaaS (Farming as a Service)というコンセプトの下、新たな価値を創造・提供できる農業への転換に向け、農林水産省自身のDXも進めている。具体的には約3,000ある申請手続きすべてのオンライン化を来年度中に完了する予定である。また、DX構想では、未来の農業をより具体的にイメージするために2030年の農業の姿を小説として公表している。2030年の世界は、農業現場でのIT活用に加えて、消費者のためのより便利なサービスが登場するなど、食全体として面白い世界になると信じて、政策を推進している。DX構想の実現によってまさにタイトルにあるような食と農の未来を切り拓いていきたいと考えている。

講演「⿂沼の⾥から世界へ〜事業活動を通じた地域貢献〜」
【八海醸造株式会社取締副社長 南雲 真仁 氏】

近年では、国内の日本酒消費量の減少を受け、海外への輸出にも意欲的に取り組んでおり、北米を中心にシェアを拡大している。また清酒製造で培った技術を活かした「米と麹と発酵」をテーマにした商品を展開している。今後の展開として、北海道のニセコにウイスキー蒸留所を新設中である。この地で培った知見を生かし、「未来永劫終わらない会社」という理念を体現していきたい。 当社は、食事の味わいを引き立てながら、コミュニケーションを豊かにする食中酒を目指して酒造りをしている。魚沼の風土、水、雪、発酵の文化など、創業から100年近い歴史のなかで培われた我々のモノづくりの精神は、土地の様々な要因が折り重なることによるものであり、地域あっての酒造りだと思っている。そして八海醸造の製品をお客さまに理解していただくには、魚沼の魅力を感じていただくことが一番ではないか、という考えから、「魚沼の里」というエリアの開発も行っている。自社で手掛けるビール醸造所のほか、雪室の熟成肉、和菓子、パンなどを扱う方々に出店を頂いている。

講演「農業活性化への取り組み」
【株式会社おらしょの野菜代表取締役 中島 亘 氏、株式会社やまと食品代表取締役社長 目崎 定男 氏】

 我々の企業は、魚沼の農産品のブランド化や、地域の活性化のために、伝統的な食文化・伝統的な農業を守りながら、新しい食品の開発を目指している。小澤農場(当日は都合により欠席、中島様による代読)では、次の世代が農業を受け継ぎたいと思ってもらえるよう、魚沼コシヒカリに加えて八色スイカ、八色しいたけ、カリフラワーと通年で農業を行えるよう複合経営に取り組んでいる。
 おらしょの野菜では、10年以上前から南魚沼食材ツアーを展開している。これは年間で大体2~300人くらいの人を招いて、扱っている商品を説明しながら、1日を通してお客様をあちこちに案内するものである。魚沼の1年を通じての良さを写真や文書で伝えるような努力もしている。他地域の企業との連携にも取り組んでいるが、デジタル時代にあっても、私たちのモットーは、人と人とのつながり、コミュニケーション能力、顔と顔を合わせて会話をしっかりすることである。そこから信頼関係が深まり、信用が生まれる。つながりを追求することが他社との差別化、選ばれる会社になるのだと思っている。
 やまと食品は、人々が冬場に出稼ぎをしなくてよくなるように、と考えた先々代の祖父母が始めた食品加工会社である。日本の食文化が変わっていくなかにあっても、笹団子や餅といった伝統を子どもたちに残しながら、市内の農家が生産する野菜や雪を利用し、魚沼でしかできない新しい商品をつくっていきたいと考えている。

「国際大学における食と農、DXに関わる人財教育の取り組みと成果」

講演
【国際大学国際経営研究科研究科長、教授 Hyunkoo Lee】

 これから来る変化はかつて経験したIT革命よりも大規模なものになる。DXはビジネスプロセスにも組織にも影響を与える。業界の間にある境界線も不透明になる。政府によるデジタルインフラの構築も予想される。DX時代には、テクノロジーと経営の両方を熟知している事業者が必要。この新しい環境を見据えて、国際大学はデジタルトランスフォーメーションプログラム(DXP)という新しいプログラムを立ち上げた。本プログラムの目的は、テクノロジーとビジネスの双方に精通した事業者を育成することにある。幅広い方々の入学をお待ちしている。

講演
【国際大学国際経営研究科教授 横瀬 勉】

 本学が今年度始めた「農業コース」は国際大学における「日本グローバル開発学プログラム」の一科目として設定したものである。同プログラムは、日本が発展の段階で色々学んできた知識や経験から学びを得ることを狙いとし、特に農業に焦点を当ててスタートした。内容は、我々日本人にとってはもう一度学び直すことでもあり、海外から来た留学生にとっては、日本の農業の歴史を新しく学ぶことになる。農機具などの生産性向上の努力や新田開発などの歴史から紐解いていく。コメの生産高、コシヒカリのブランド化の歴史など、それに機械化の歩みなど歴史的な変遷も見ていく。座学に加え、地域の農業生産者の皆様の協力も得ながら、稲刈りの体験、訪問などの実習にも取り組んでいる。また市長にも講演いただくなど、行政からのインプットも取り入れて民間における業務連携や行政の支援などを総合的に考えさせるような工夫をしている。今後も、このような実践的なプロジェクトベースの学びへの試みを続けていきたい。

<質疑応答>

質問①(オンラインより、林市長への質問):世界的な食料不足、また就職難の状態が続いている。しかしながら、大規模な食料生産を可能にする土地があるにも関わらず農業に従事する若者が少ないのはなぜか。若者の志向を変えていく方法はないものか。

林市長:私はこの地域で若者が農業から離れていっているとは思わないが、一般的に小さい農家が減っていくのは当然の流れでもあると考えている。専門職として農業が位置付けられていくことも重要だ。行政としては、若者に対して何かを押し付けるのではなく、ブランド力を高めていく努力により支えるような、それぞれに役割があると思っている。あまり悲観しない方が良い。

国際大学山口:たしかに農業従事者は減っており、魚沼産、南魚沼産コシヒカリの値段も全体的には下がってきている。にもかかわらず、例えば、若い農家で、農業を大規模化させた会社経営により成功しておられる方がいる。全国的には単価が下がって、米のニーズや消費量も下がっているにもかかわらず、南魚沼の地域の若い人がやっている農業というのは、全く右肩下がりになっていない。私も市長と同様に、非常に楽観的に思っている。

農林水産省 阿部様:先の私のプレゼンでも高齢化が進んでいるといった一般的な説明をしたが、林市長や山口教授がお話されていたとおり、やる気のある若者や、ビジネスとして農業をされている方、積極的にスマート農業をすごく先進的にされている方々などにお話を伺うと、そういう方々は夢もあり、農業のこともすごく好きで、勉強もし、積極的な取り組みもされている。農水省も、そういう方が活躍できる基盤を整えてきたいと考えている。2030年の農業の姿は明るくて、若い方が生き生き仕事をしていて、就職したい職種の上位に挙がってくるようなそういう姿を目指していければなと考えている。

質問②会場参加者:八海醸造の南雲副社長に伺いたい。ニセコのウイスキー工場では、燕三条の工芸品をPRするという記事をみた。ぜひ、南魚沼の雪室などの文化や伝統を生かした食品を広く紹介していただいて、われわれが、コシヒカリその他の食品を海外のお客さんにある意味で自慢できる収益も上げていけるような取り組みも進めていただきたい。これについてどのようなお考えがあるか。

海醸造 南雲様:ニセコの蒸留所は、製造設備に加えて物販の施設としての展開を考えている。そのため、ウイスキーづくりにおける、時間をかけゆっくり熟しながら品質を高めていくというコンセプトにリンクする品物を選んで取り扱うことにした。燕三条の品物は、同じ新潟の職人さんが長い時間培って作り上げた技術で作ったもの選び発信している。今後は、さらに魚沼をはじめ、新潟の他の地域の商品の取り扱いも検討していきたいと考えている。

質問③会場参加者:林市長に2点お伺いしたい。一つは人口増あるいは市の産業の復興などいろいろな課題があるなかで、南魚沼市として一番優先順位の高い目標は何かということである。もう一つは、行政のデジタル化について、南魚沼市で取り組まれていること、あるいは今後取り組もうとしていることにはどのようななことがあるのか。

林市長:人口減のことについては誰にきいても課題になる。しかし先ほどの雪の取り組みにヒントがある。これからの世代に何を残せるかと考え、そこを守り抜くということが、人が定着するとか、帰ってきてここで頑張っていこうという人が増えることにつながると思っている。先ほど、八海醸造さんの原点も雪だという話があったが、私たちはそこから逃げられないし、逃げてはいけない。こうした活動を通じて、地元に対する愛着とかも含めた、歴史観も全部総合した、誇りというものが生まれてくるのだろうと思っている。そこから離れたら自分たちのアイデンティティを失ってしまうと思う。アイデンティティや誇りを起点に、さまざまな政策に全部分かれていく。そう思いでやっている。デジタル化については色々ある。行政上のシステムしかり、手続きしかりだが、いま一番、頑張っているのは教育である。教育現場の環境を変えていこうと頑張っている。

パネルディスカッション①「テクノロジー活用と産業振興」

モデレーター:国際大学GLOCOMプラットフォーム研究グループ 主任研究員 小林 奈穂
パネリスト;
株式会社バイオマスレジンホールディングス代表取締役CEO 神谷 雄仁 氏
ベジタリア株式会社代表取締役社長 小池 聡 氏
新潟県農林水産部農業総務課政策室長 石田正雄 氏

小林:このパネルディスカッションでは、食と農に関わる新たなテクノロジーを活用しながら地域の経済産業をいかに活性化していくことができるかについて考えていきたい。まずはパネリストの皆さんから自己紹介を兼ねて、それぞれショートプレゼンをいただきたい。

神谷(敬称略、以下同):弊社では米を使ったプラスチックライスレジンを提供している。流通の中で余ってしまう米をプラスチックにすることを通じて、CO₂削減、フードロス対策といった社会課題を解決する新しいビジネスモデルの構築に取り組んでいる。耕作放棄など農業が抱える課題に対する新しいアプローチとして、関係するさまざまな立場の方々を巻き込んだプラットフォーム戦略という形で、お米を通じた新しいビジネスの横展開を進めている。もともとは、耕作放棄地を水田に変え、原風景を守りたいという思いで農業に参入した。" Plastic Innovation for Tomorrow" のスローガンの下、遠い未来の話ではなく、明日のプラスチックを変えていこうと真面目に考え、100年愛される会社を目指している。

小池:1980年代にITコンサルティング、システムインテグレーションに従事し、1990年初めに駐在員としてアメリカの現地法人の社長を務め、その後、独立をしてベンチャーキャピタリストとなった。バブル崩壊後に日本に戻り、東京渋谷を中心にビットバレー構想を提唱し、若い人たちを集めて投資・育成をした。人生後半はちょっと地に足を付けてライフワークを見つけたいと思い東京大学で学び直し、そこで興味をもったのが、まず健康。そこから健康、食、農業、環境をテーマに何かやろうと思い、2009年に就農した。自身が農業を通じて経験した病気、虫、雑草、天候との闘いから、最新の植物科学とテクノロジーを融合して何とか農業のイノベーションができないかなと着想し、会社を興した。現在は、北海道から九州まで全国8か所で農業を行うほか、加工・流通・販売を手がけている。グループ傘下には農業用センサーのフィールド・サーバーを提供するイーラボ・エクスペリエンス、全国60万圃場で採用され日本で一番使われているクラウド型の栽培管理のシステムを提供するアグリノートなどがある。

石田:生産現場の高齢化などの課題解決の1つの手法として、また、技術の伝承、安全性向上、省力化という観点から、スマート農業、ICT、ロボット技術、DXなど新潟県として取り組みを進めている。また、地域によって経営の中にも多様な課題があることから、県内の農林水産事業者の方々から経営の中での課題解決のニーズを募集し、スマート農業、スマート技術を活用した課題解決に関心のある企業とのマッチングも実施している。実際に20件近いマッチングにつながっており、これらの取り組みを通じて、新たな技術開発、製品開発、農業者の経営改善を促進することで、新潟県全体の産業の活性化につなげることも行っている。

小林:神谷さん、小池さんのビジネスでは、イノベーションの源泉が私たちの一番身近なところにある地域資源を活用したものになっている点が非常に興味深い。それぞれの地域の目線、地域が抱えている課題の解消を起点にしながら、脱プラスチック、フードサプライチェーンといった世界規模で求められている課題解決を視野に入れていらっしゃる。まさに、グローカルという言葉で示される通り、世界基準で考えて足元から変えていくというようなことをご実践されている。では、今後、食と農に関わるグローカルなビジネスを盛り立てるにはどのようなことが必要だろうか。

小池:今、スマート農業という言葉がブームだが、それは必ずしもITありきのものではない。スマート化は、マクロでいうと、社会課題をどのように解決できるかという視点で、つまり課題ニーズをどうやって解決するかというところからバックキャストして進めていかなければならない。また、日本の就農人口は減っているが、面積当たりの人口でいえばアメリカに比べて圧倒的に多い。つまり、イノベーションにより、さらなる効率的な農業が可能である。日本にはそうした技術の非常に大きなポテンシャルがある。

神谷:テクノロジーの新たな適用先を考えるとき、農業ほど魅力的な産業はない。われわれの事業では、プラスチックの資材となるお米の味は追求する必要はないことから、生産性を優先する、効率を徹底的に考えるなど、科学的な根拠から新たなアプローチやビジネスアイデアをみつけることができる。社会課題というのは、何か理由があって残っている大きな壁である。しかし、それは見方を変えれば新しい産業やイノベーションが生まれるチャンスでもある。

石田:新潟県としても、やはり農業の担い手となる人たちが将来展望をもって継続的にやっていける、持続的な農業をめざしていきたいと考えている。担い手確保は、稼げる、カッコいい、それに感動する、この3つを新たな3K、農業の3Kをキーワードに推進している。従来の新潟県の農業は、稲作で兼業が多かったが、現在、力を入れているのは法人化と大規模化である。その実現に向け、経営感覚を持った担い手の育成も重視している。さらに、新技術の開発においても、他産業も含めたさまざまな連携がとり合えるような結びつきを強めていきながら、農業を発展させていきたいと考えている。
小林:稼げる農業、さらに広げて持続可能性といったキーワードに関する展望や、課題感があればご指摘いただきたい。

神谷:当社は、農業のセーフティネットになりたいと思っている。これまでは、台風などの水害で出荷できず、廃棄するしかなかったコメも活用している。農業には天候によるリスクがあるが、我々であれば、安定的に工業品として使うことができる。さらに踏み込んで、今、我々自身がまったく違うアプローチで農業を始めようと思っている。自分たちのやっていること、それから周りの方やっていることを良くお互いに理解し合う中で、何か新しい役割や発展が見えてくる。これからの社会では、単独、自社だけの利益ということではなく、その地域の皆さんの利益、自治体の方たちと一緒にやれるような目的意識の共有が重要になるだろう。そのような企業姿勢を持たなければ評価もされないし、成長もしないと考えている。

小池:林市長も仰っていたとおり、持続可能性へのポイントは若い人である。宮崎県に農業高校と商業高校と工業高校が統合して実業高校になった県立日南振徳高校がある。そこで地域の社会課題に対するビジネスプランをつくるプロジェクト型学習で生徒たちに発表させたことがある。そのピッチが素晴らしかった。まず農業のことは農業科の子たちが課題を出してくる。次にそれをどういうふうにテクノロジーも交えて解決できるかを工業科の子たちが考える。そして事業としてビジネスにするところで、こんどは商業科の子たちが出てきて色々ビジネスプランを作っていく。このコンビネーションで、その地域課題に即した、大人だとちょっと考えつかないようなアイデアが出てきて素晴らしかった。広島県ほか、他地域の高校生に対する授業でも同様の反応がありとても手ごたえを感じている。このように、地域を理解した若い人たちが活躍する場を作れば相当変わってくるのではないか。

小林:最後の締めくくりとして、食と農を通じたビジネスを発展させていくにあたり、大学が果たせる役割について、ぜひみなさまから一言ずついただきたい。

石田:技術開発につながるような取り組みのための産官学の連携が必要だと思っている。また、国際大学については、輸出を含めた国際的な部分にも関係するし、DXを通じての交流もあり得る。私ども職員もDXをどう進めていくかということで研修等もさせていただいている。こうしたさまざまな協力を大学からもいただければと思う。

神谷:国際大学の先生方とはいろいろな交流をさせていただいている。アジア・世界を代表する人材がこの地に集まっていて、我々自身も現状、南魚沼から始めた事業を国内、海外に展開していく中では、人の交流をさらに進めていただきたい。我々のビジネスモデルを、ケースとしてMBAの授業の中に入れていただいて、学生のみなさんが自国に帰って、同様のビジネスを展開するとしたら、どのような可能性があるかという議論をしていただくのもよいだろう。ついでに優秀な生徒に我が社にきていただくというようなことになればなおよい(笑)。

小池:外国のエリートが集まる国際大学は特殊である。これを利用しない手はない。2050年までに世界人口は100億人近くになるが、人口増の中心はアジア、アフリカ。そのアジア、アフリカの食料問題を解決するいろいろなテクノロジーやビジネスイノベーションの発信ができる拠点としてのポジショニングを得てほしい。アメリカ型の大規模農業やオランダの植物工場みたいなものがアジア・アフリカに向くのかは疑問である一方、日本型の農業には可能性がある。日本初のイノベーションで、それこそグローバルな農業、食料問題を解決するというようなビジョンからバックキャストして、今何ができるかというような設計ができれば、非常に良い取り組みができる。卒業生をぜひ大切にしていただいて、色々なネットワークに繋げていただきたい。


小林:パネリストの皆さんのご指摘から、人材育成、ネットワークの活用いずれの面でも、地域の皆さんと連携しながら進めること、また地域内の産官学民つながる場を作っていくことが大学としての1つの役割であることを改めて感じた。登壇者の皆様に御礼を申し上げたい。

パネルディスカッション②「地域資源の活用と国際化」

モデレーター:国際大学GLOCOM 情報社会研究グループ 研究員/講師 菊池映輝 パネリスト;
南魚沼市産業振興部部長 腰越 勝利 氏
有限会社エコ・ライス新潟代表取締役 豊永 有 氏
国際大学国際関係学研究科教授 山口昇

菊地:このパネルディスカッションでは「地域資源の活用と国際化」というテーマで、食、農も含めた地域の資源とそれをどのように国際的に活用していくかについて議論していきたい。まずはパネリストから自己紹介を兼ねてご発言いただきたい。

腰越(敬称略、以下同):南魚沼市は北緯37度にある。同緯度のサンフランシスコ、アテネ、それからリスボン、ポルトガルなどは温暖なところだが、同緯度の我が南魚沼は世界でも稀な豪雪地で、縄文時代から雪に育まれて生きてきた。縄文時代からの保存食や織物が現在につながっている。昭和に入って戦後高度成長期になり、交通網の整備とともに関東圏・東京圏から人と物が来るようになった。それまでは夏は農業、冬は出稼ぎに出るという生活だったが、夏に作る農畜産物を提供してお客さんを泊めるという副業が発展した。スキーブームはこの地域を潤したが、バブル崩壊とともに収縮していった。その後もやはり観光誘客をすべきといって取り組んだのが、雪に育まれた食などをテーマとしたキャンペーンで、その例として「本気丼(まじどん)」や「グルメマラソン」などがある。この地域の資源は雪、そしてそこで育まれた生活・文化、それと食。今後、インバウンドはまだしばらく回復しないだろうが、それをどう国際化に繋げていくかというのはキーワードになるだろう。

豊永:有限会社エコ・ライス新潟は、20年前に有機栽培、持続可能な農家が集まって小さい農協のような形でスタートした。20年経った今は農業だけでは食べていけないので地域連携で米を加工したり、新しい商品を作ったり、というのが仕事になっている。自身は、管理責任者というような立場だが、本当はもともと農業がやりたかった。そこで去年から兼業で20ヘクタールの農家2人で始めた。
 さて、私どもがなぜ海外に行くか。ドバイには2年前から12トンずつコメを輸出しており、東京よりも高く売れる。新潟魚沼というのは日本で一番良いといわれているお米がとれるところであり、低価格を売りにする必要はない。どうやって価格に替わる付加価値をつけて世界に進出するか、挑戦しているところである。現在は、フランス、南アフリカ、アメリカ、ドバイ、台湾にも進出している。
 ほかには、南魚沼産で災害用のアルファ米を作ったり、国際大学で米粉を使ってアレルギーフリーでハラルのスイーツを一緒に作ったりしている。国際大学に来ている留学生の人達は、地域資源だと思う。彼らと一緒に作った商品を今、海外に出している。これからは地域連携をしながら海外に目指していける、

山口:地域の風土が一つ目の資産だろう。先ほどから話題になっている雪がある。そして、食にこだわる文化というか文明のレベルが非常に高いことが二つ目の資産である。例えば、ここに来て強く感じたのは、この地ではナスへのこだわりがすごいということ。実にいろいろなナスの種類がある。魚野川で獲れるアユもまた美味である。
 国際大学が持つ資産といえば学生であるが、毎年60ヵ国くらいからの留学生が修士課程に350人くらい在籍している。地域への溶け込み方が足りないというのが私どもの問題意識だが、新しい空気を吹き込む外国人の学生たちがいることは三つ目の資産だと思っている。
 具体的にどうするかだが、例えば国際大学版の「道の駅」はどうか。世界の特産品があり、あるいは60ヵ国以上の国に魚沼の特産品を送ることができるようなマーケティングができる、あるいはそこをひとつのスポットとして人が集まるような「魚沼国際の里」のようなものはどうか。
 もう一つは、高度の初等教育の可能性がある。国際大学の学生はすごく優秀で、みな英語が喋れる。彼らが、例えば放課後や土曜日の午前中に、児童を対象に英語で算数、家庭科、体育を教えるような補習クラスをやれば、高度な初等教育も実現するのではないか。

菊池:ご紹介してくださったさまざまな地域資源の根源はどこにあるとお考えか。

腰越:雪は有史以来ずっと降っていて、生活や産業を作っている母体になっていると思う。観光業や農業、酒づくり、製造業にしても豊かな雪解け水を魅力に感じて来てくださる企業さんもいる。将来的には雪は減ると言われているが、この地域にとってはどうしてもルーツとなるものは雪。それが根っこにあって、過去からの生活を営んで支えてくれたという感じがする。

豊永:個人的には、17年前の中越大震災が大きなきっかけであった。中越地震で被災し、避難したところで、米を食べられない人、咀嚼が困難な人、血糖値が高い人とかがたくさんいることに気づいた。じゃあこれからどうなるか。少子化、人口が減る、病気の方が増える、そのためにどうするかと考えた。そこから、透析患者が食べられる非常食をつくり、低アレルギーに着目した米粉、あるいはインバウンドが増えている中でハラル、ビーガンなどに取り組み始めた。そのようなときに国際大学と付き合いしてみて、学生たちの意見を聞こうとなった。災害、雪や雨、あるいは地震といったものが、今の私たちのビジネスの原点になっている。

山口:魚沼がここにあるということが大きい。であればこそ雪が資産になり、ここで長年培われてきた人たちの知恵やそれと忍耐強さがある。しかし、雪にしても、水で溶ける雪というのは、北海道の雪とは違う。ロケーションにしても浦佐は大宮のとなりと言っているが、関東圏からサンダルで来られて、雪国と言いながら長靴を履かないで済むような地域である。魚沼の地理的な位置というのが強みになっているのではないか。

菊地:次に、その地域資源をどう国際化していくかについて議論したい。地域資源をどうやって国外に訴求できるか、訴求していくべきなのかについて意見を伺いたい。

山口:魚沼の農業に関して言えば、お米に限らず素晴らしい産品があり世界に通用する。フィールドトリップで学生を東京に連れていき、昼・夕食を食べる段になっても、彼らは全然楽しみにしない。浦佐の方がおいしいと知っているからだ。それほどここにあるものの資産価値が高い。ただその販路なり、ネットワークなりを使いきれていないというのが課題。もう一つ、生まれたときから魚沼のコシヒカリを食べている人にはそれが当たり前になっていて、その美味しさが分からないのではないか。資産に自分たちで気が付くことが第一ではないか。

菊地:南魚沼市として地域の資源をどう国際化していくかについてはどうお考えか。

腰越:今、世界の全人口は78億人くらいで、例えば南アジアで17億人、東南アジアだと6億人くらいいるが、それらの地域では雪は降らない。将来的にそういう地域が発展すると、雪は魅力となってくるはず。そして行きやすい地域としてはまず日本が選択肢に入り、かつ、その日本の中でも南魚沼は首都圏からすぐ来られる地域にあるということで、訴求力が高いはず。もう一つ思うのは、国際大学があり、学生が地域に溶け込んでいること。その二つの点を考えていくとこの地域の国際的な訴求力は高いはずだ。

菊地:豊永さんは、先ほどのハラル対応食品の開発のほか、国際化への道筋をどうお考えか。また、本シンポジウムのテーマである「デジタル時代の」に関連して、もしデジタルを交えるとしたらどのようなことが考えられるかについてもお伺いしたい。

豊永: 浦佐で作ってもらっているアルファ米は、かつてはドバイなどに持っていっても見向きもされなかった。しかし去年の2月から、紛争があり、パンデミックがあり、もしかしたらこういうものは必要だと欧米の人たちが言い出した。あっ、これは来たなと思った。つまり、災害が多く起こっている日本の経験がこれからは絶対にビジネスになっていく。
 デジタルについていうと、パンデミックになる3~4年前からずっと海外にいっていたが、鳴かず飛ばずだった。しかし今は、そこで出会った人たちとリモートで週に何回も話している。すると商売になっていく。余計な話もしないし言葉ができなくても、じゃあコシヒカリ12トン来月、送ってほしいというような話になる。また、彼らも日本にきていろいろな体験をしたいというから、今は動画でわたしはこんな米作りしているよ、と紹介するとものすごくレスポンスが来る。
 もう一つ、東京の8つの小学校で、小さな田んぼをもって、20年ほど指導を続けている。今はリモートで田植えとか稲刈りの指導をしている。そこで衛星やドローンやGPSトラクターなどを見せると、なんと子供たちが、「僕、農業がやりたい」という。以前は、学校に行って、お米は大切だ、みんなお米を食べよう、農業大切はなんだよ、と伝え続けていたが、それよりも、「君だってもうドローン飛ばせるよ」などというと、もうものすごく目の色が変わる。このように、若い人たちにどう接するかによってどんどん農業に来る人は増えるだろうし、あるいは、たくさんの人数がいなくてもできる時代になってきた。だから、頭を切り替えれば、可能性はたくさんあると私は思っている。

菊地:この地域の魅力を伝えることを含めていかに国外を巻き込むかという課題について行政としてはどうお考えか。アクションが始まりつつあるのか。

腰越:観光については、コロナ禍で旅行会社がオンラインツアーに取り組み始めている。現地に行けないのであれば現地のものを送るなど、一緒にツアーしているように体験していただくような取り組みは、これからの重要な課題になる。また、インバウンドは2024年頃にはかなり回復するとの予測もあるので、そこに向けて取り組みを進めている。

菊地:観光の観点からすると、南魚沼市はコンテンツツーリズムのはしりの時期からずっとやっておられて、大きなポテンシャルがあると感じる。今後さらに盛り上がると期待している。国際大学にはたくさんの卒業生がいると思うが、デジタルを活用して、今いる学生と卒業生をつなげたり、地域の魅力を伝えたりといったことはあるか。

山口:同窓会は頻繁に行われている。ただし全部リモートになっている。東京にいる同窓生が音頭をとって、結構長い時間をかけて、時差があるところでも参加できるような工夫をしながらやっている。
 それから、弊学の多くの学生は発展途上国の出身だが、それらの国では旧来のインフラを飛び越えて新しいインフラに移っていて、むしろ日本側が遅れている分野もある。そのような意味でネットワークというのは非常に使いやすくなっている。
 関連して言うと、どこでどんなものが必要で、どんなものが作られているか、その間の流通、物流がどうなっているかといったことを把握するのは、今ははるかに簡単になっている。例えば、キルギスで「一村一品」活動を支援して作った産物の一つに、常温でも結晶になっているとても美味しい「白いはちみつ」がある。それを今のインフラを使って注文をすれば1週間くらいで届く。にもかかわらず、それをビジネスにしているのが日本に1社しかいない。国際大学のネットワークを使って発展させるようなことができれば、はちみつに限らずさまざまなものが流通する仕掛けにもなり、魚沼の産品も流通できるようになるのではないか。

菊地:今山口さんのお話のように、弊学は意外とポテンシャルが高いかなとも思うが、腰越さんと豊永さんが、どういう期待を抱いてらっしゃるかというお話もお伺いしたい。

腰越:やはり世界60ヵ国以上から留学生がいらっしゃっていて、かつ各国で非常に政治的にも社会的にも高い場所にいる方が多いと思う。そのネットワークというのはやっぱり一朝一夕にはできない、とても貴重な財産だろう。行政としては国際大学との連携を通じて、将来的にはそういう方々とのつながりをもっと深めていくっていうのが大事だと思う。

豊永:今はコロナで止まっているが、ぜひ、国際大学と一緒に商品開発をしたい。日本人が美味しいと思うものと、彼らが美味しいと思うものとは違う。何度かやってみたが、日本人が美味しいと思う赤飯のようなものはウケない。
 インバウンドが戻ってきたときに、例えば冷食やレトルトで外国人の味覚にあうものが提供できれば、南魚沼の食品産業に対してプラスになる。ハラル対応のキッチンを持つのは大変だが、ハラル対応の冷凍食品があれば、インバウンドの方をちゃんともてなせる。その第1ステップとして国際大学は最高に良いフィールドワークの場になるかなと私は思っている。

山口:地域に大学があるのはアセットだと思うが、それを使いきれていないのが実情。地域の人たちを引き寄せるという努力、つまり常に地域の人たちと学生が交わる場所を作る、つまり国際大学がもっと根を張るということについて努力が足りないと感じている。今はコロナの状況であり何かと制約はあるが、そういう意識を高めていけば、もっとアセットを生かせるようになると思う。そういうふうにやっていきたい。

菊地:今はコロナで様々な活動が停滞しているが、逆に今のうちに仕込んでいくことで、アフターコロナにどんなアクションがとれるかという意味でとても重要な時期だと思う。議論は尽きないが、ここでパネルディスカッション②を終了とする。登壇者の皆様に感謝申し上げる。

閉会挨拶
【国際大学副学長 加藤 宏】

本日は、中央政府、県、市といった行政の方に限らず、農業者、IT企業、イノベーター、さまざまな方にご参加いただいたことによって幅広い議論ができた。特に南魚沼市 林市長におかれては、お忙しい中最後までお残りいただき活発に議論にご参加いただき、また、南魚沼市におかれては今回のイベントのご後援もいただき改めて感謝申し上げる。シンポジウムでの議論から得られた気づきは人それぞれにあると思うが、私自身は、農業には大きな可能性があり、デジタルと結びつくことによってさらに価値が高まるであろうこと、そこに国際大学の役割を含めた国際的な要素が大きな貢献をもたらしうることなど、大きな学びを得ることができた。今回、国際大学として初めての試みとして、このようなシンポジウムを開催した。今日を、これから長く続く国際大学の活動の第一歩であるとしたい。改めて本日ご参加いただいた皆様に御礼を申し上げたい。

当日の総合司会:NHK新潟放送局「新潟ニュース610」キャスター坂元 楓さん

<アンケートに寄せられたコメント(抜粋)>
・すばらしい取り組みをしている方の話をたくさん聞けました。
・地域の複数の特性を組み合わせた魅力づくりに触発されるものがあった。
・地域の現状の把握が出来て満足。 
・とても興味深く南魚沼がより好きになりました。
・南魚沼市で取り組まれている地域活性化事業を知ることができた。    など

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お問合せ先:
国際大学スーパーグローバル大学推進室
EMAIL: sgu@iuj.ac.jp
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